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スロット 500 万1918年のスペイン風邪は米国の兵舎で発生、世界に広がり、その結果、米国は世界の覇者となった。2020年の新型コロナは武漢から発生し、世界に広がり、やがて新たな覇者が誕生する。

 これは、中国のSNSで広がった小話である。2021年はワクチンが広く普及し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は普通の風邪となって、東京オリンピック・パラリンピックは無事に開催されるのか、それともワクチンの普及は先進国の恵まれた人たちだけにとどまり、グローバル化した世界では感染が波状的に繰り返されるのか……。果たして、どういう1年になるのだろうか?

 米中覇権闘争、気候変動、感染症対応など、現在人類が抱える諸問題のほとんどは一国だけでは対応不可能な問題ばかりである。これらの問題は利害の対立する国家間の調整が必要で、民主主義国家でもポピュリズムがまん延し、国民の意見が割れている国も多く、将来予測が非常に困難な状況にある。

 こういった予測不能な問題にどう対応していくのか。その対応力がこれからの製造業の浮沈を決めると説いたのが、「2020年版ものづくり白書」であった。そこで大きく取り上げられたのが「ダイナミック・ケイパビリティ」という自己変革能力である。

製造業におけるダイナミック・ケイパビリティと3Dデジタルツインの重要性

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ダイナミック・ケイパビリティの本質とは?

 ダイナミック・ケイパビリティは単なる能力ではなくて、自社の持つ能力を変革し続ける能力だという。その意味するところを、TPS(トヨタ生産方式)を例に考えてみよう。

 TPSは、各工程が必要なものだけを生産し、異常が発生したら機械が自動停止し不良品を作らないという生産の方式で、トヨタ自動車という会社の文化と人材で実現する能力である。製品そのものではなく、モノづくりの能力を競争力の源泉としている。だが、このTPSはダイナミック・ケイパビリティと呼ばないという。

 状況の変化に追従してTPSを変化させる能力、さらには、電動化や自動運転など先の見通せない時代に、会社の存在意義から変えていこうという組織の能力をダイナミック・ケイパビリティと呼ぶ。企業の資源を活用する能力をケイパビリティとすると、環境変化に応じて、それを変える能力がダイナミック・ケイパビリティなのである。また、実際の変革においては、

「危機を感知」する「機会を捕捉」し、既存資産を再構成する「組織を変容」させることで競争力を持続する

という3つのステップがあるという。

ダイナミック・ケイパビリティを実現する3つのステップ図1 ダイナミック・ケイパビリティを実現する3つのステップ [クリックで拡大]3ステップを製造業に当てはめてみる

 この3つのステップを本連載のテーマである「3Dでデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する」という観点で考えてみよう。

 まずは、危機感知だ。現地現物評価による擦り合わせ、紙図面を理解する現場力、面着(直接会う)打ち合わせによる濃厚なコミュニケーションといったこれまでの日本製造業の強みは、デジタル化の進む海外との競争上はマイナスに作用する。そして、コロナ禍によるアナログなコミュニケーションの減少がこれを加速した。まず、現地現物や紙図面の偏重を危機として「感知」する必要があるのではないか。これは連載第2回で説明した。

日本の製造業の強みを生かしたDXとは?

 一方、日本の製造業の60%以上が3D CADで設計している。問題は、3D CAD導入によるデジタル化の範囲がCAEや3Dプリンタによる試作といった設計回りに限定されていることである。せっかく3D CADという武器、3Dデータという既存資産があるのだから、このデータの存在を機会として「捕捉」してはどうだろうか。「3Dデジタルツイン」という形に再構成して、全社で利用できるようするのである。そのためには、日本の設計現場では分離して作業が進むことの多い図面と部品表の情報を統合し、正当な部品表の構造を持った3Dデジタルツインを構築する必要がある。これを利用してデジタル擦り合わせを行うことで早期に設計品質を高め、最小化された現物擦り合わせでさらに製造品質を高めることが、2番目のステップとなる。

 3番目のステップが、3Dデジタルツインを流通させることで、組織やプロセスを「変容」させることである。デジタル擦り合わせで、現物ができる前に評価と検証のプロセスを前倒しする。製造現場の業務プロセスも見直し、紙の図面や帳票に変えて3D図面やデジタル帳票を利用する。そのためには、メンバーのデジタル教育も欠かせない。サービスや営業の場面でも実製品に変えて、3Dデジタルツインを使うことで新たなビジネスモデルを構築できる。

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